【簡易版の計算式と導出】投資信託の端数処理を解説(楽天,SBI,GMOクリック)
#端数処理#数学#投資信託
定義一覧
- ceil:切り上げ
- floor:切り捨て
- round:四捨五入
- b:購入金額(整数)
- p:1口当たり基準価額
- r:購入口数(整数)
- r0=floor(pb)
- b0=round(pr0)
- r=r0 (b0=b の場合)
- r=r0+1 (b0<b の場合)
✅定義
金額指定買付に登場する記号を次のように定義します:
- b [円]:投資信託の購入金額(整数)
- p [円/口]:投資信託の1口当たりの基準価額(約定価格)
- r [口]:投資信託の購入口数(整数)
- 理想的な(口数を実数で保有できる)場合,購入口数は pb
また,実数 x に対して以下の整数化関数を定めます:
- ceil(x):x を整数に切り上げた値
- floor(x):x を整数に切り捨てた値
- round(x):x を四捨五入した値
- 整数 n に対し,ceil(n)=floor(n)=round(n)=n
- ceil(3.21)=4,floor(3.21)=round(3.21)=3
- ceil(4.56)=round(4.56)=5,floor(4.56)=4
通常,投資信託の基準価額は「1万口あたり」で表示されます.
このとき,p は提示価格を10000で割って求める必要があります.
例:
投資信託「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の基準価額は2025年11月14日時点で38,066円です.
このとき,1口当たりの基準価額は p=3.8066 円です.

参考:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)|eMAXIS(イーマクシス)
✅簡易版の計算式(楽天, SBI, GMOクリック)
p>0.5 (1万口あたり基準価額が5,001円以上)のとき,楽天証券,SBI証券,GMOクリック証券では,購入口数は3つの手順で決まります:
r=ceil(pb−0.5)
✅厳密な計算式と同じ結果になることの証明
楽天証券,SBI証券,GMOクリック証券での厳密な計算式は以下の通りです:
- 理想的口数を切り捨て:r0=floor(pb)
- r0 口購入した場合の評価額を四捨五入:b0=round(pr0)
- b0 が b 未満なら1口追加:
r={r0+1r0if b0<bif b0=b
p>0.5 のとき,上記の計算式で得られる r が ceil(pb−0.5) と同じ値になることを証明します.
【証明】
- 切り捨て関数の性質より,pb−1<r0≤pb
- 各辺に p をかけると,b−p<pr0≤b
そこで,pr0 が区間 (b−p,b−0.5) にある場合と,区間 [b−0.5,b] にある場合の2つに分けて考えます(b−p<b−0.5 に注意).
▶ b−p<pr0<b−0.5 のとき
- pr0<b−0.5 より r0<pb−0.5
- b−p<pr0 より pb−1<r0.よって pb−0.5<pb<r0+1
- 上記の不等式をまとめると,r0<pb−0.5<r0+1
- r0 は整数なので,ceil(pb−0.5)=r0+1
- 一方厳密な計算式からは, b0<b より r=r0+1
▶ b−0.5≤pr0≤b のとき
- pr0≤b より r0≤pb.よって r0−1≤pb−1=pb−p<pb−0.5
- b−0.5≤pr0 より pb−0.5≤r0.
- 上記の不等式をまとめると,r0−1<pb−0.5≤r0
- r0 は整数なので,ceil(pb−0.5)=r0.
- 一方厳密な計算式からは,b0=b より r=r0
よって,どちらの区間においても,r=ceil(pb−0.5).
✅参考:別方式との比較
三菱UFJ eスマート証券,マネックス証券,松井証券では,購入口数は r=ceil(pb) で決まります.
今回紹介した計算式 r=ceil(pb−0.5) と比べると,明確に0.5円分の優劣が観察できます.
おわりに
ご覧いただきありがとうございました.